2019年1月㈱桐屋(翠山工房)が倒産となり、同年4月より㈱翠山として伝統を引き継ぎ「辻が花」を世に送り出します。
幻の染に魅せられ、多彩なボカシ染めに手描き友禅、手絞りを駆使した「夢幻辻が花振袖」。
辻が花にこだわり続ける「桐屋」の「翠山工房オリジナル 夢幻辻が花」のすべてに迫ってみました。
文・山本博美 みやたけ工房 代表取締役
辻が花の歴史
「辻が花」と呼ばれた技法がいつごろから始まったのかは、厳密には明らかにされていませんが、室町時代後半から安土桃山時代末ごろにかけて行われたと思われる染色技法で、当時の小袖や胴服などに見られる縫い絞りをした模様染めを、辻が花と称していますので、その頃あたりに制作されていたのではないだろうかという説が有力です。
その後、慶長後半になると「辻が花」から糊防染による染色技術の発達により「友禅染め」へと徐々に移り行き、江戸寛文あたりを境に
突然消えたため、「幻の染」と言われるようになったそうです。
現代において伝統的な辻が花を当時の技術で完全に再現することは不可能といわれ、その理由として、当時は草木染めで染色されていたこと、生地が今よりも薄かったこと、麻糸で絞っていたことが考えられる。
したがって、現在の絞り染めで制作する辻が花は、全て独自の技法を発展させたものである。
辻が花の由緒
「辻が花」という言葉の由来も、厳密には明らかにされておらず、こちらもいろいろな説があります。。
- つつじの花で染めたので、「つつじが花」がなまった。
- 辻(十字の斜格子に花文)から由来した。
- 奈良の木辻で京の染め職人が染めた。(あるいは奈良の木辻で遊女が始めた。)
辻が花の技法【翠山「辻が花」ができるまで】
「幻の技法を今に受け継ぐ」
桐屋(翠山工房)は江戸時代、寛永年間の創業である新潟県十日町市にある着物製造メーカーで「辻が花」を創作している工房です。
明治時代に五代目久平が工房を開く際、十日町地方の山々が翠濃く、水清くして美しい景観から雅号を「翠山」とし、創作の場を「翠山工房」と命名しました。
現当主の田村憲一で九代目を数え大変歴史のある着物製造メーカーです。
元々は織物業でしたが、昭和に入り染めへと転換し、昭和50年代に「辻が花」と出会い、それから40年ちかく「辻が花」を創作し続けています。
桐屋(翠山工房)ではデザイン・染め・絞り等の全行程を自社で行い、職人一人一人がよりよい商品に仕上げたいという気持ちを込めてモノづくりをしています。
図案構成
手描きの下絵が完成したら、パソコンに取り込み色の選色や原寸大へと広げていきます。
図案の型紙を作るため、それぞれ型の違う緑、青、赤に色分けを行います。
桐屋(翠山工房)では、型紙も自社に制作しています。(他メーカーではほとんどが外注に出す。)
インポート&配色
どの角度から見ても綺麗なように色、ぼかしの形などを決定していきます。
「染めぼかしの技術は一級品」
絵柄型付け
型を使い柄の部分を糊で伏せているところ。
糊伏せ型付け
引き染め
同じように見える色でも、染め上がると色の違いが歴然。引き染めの工程はわずかな職人らが精魂込めて制作しています。
引き染めが仕上がった状態です。これから柄に色を挿していきます。
手描き友禅
「繊細な色づかいと技!」
生命線とされる辻が花の輪郭に描かれる「墨ぼかし」は、翠山独自のとても細かい技となります!
蒸し
桐屋(翠山工房)では、引き染めの時に1回、柄に色を挿してから2回目、絞りで3回目と蒸しを行います。
そうすることで、堅牢度が高くなり色落ちもすることがありません。
絞り
「独自の絞り加工」
絞り方も「縫い巻き上げ絞り」「平縫い絞り」「山折り絞り」「縫〆絞り」「巻き上げ絞り」など5種類の形状で絞りを行っています。
生命線である辻が花の花は、輪郭を縫ってから絞るという丁寧な技法で行っている。
まとめ
桐屋九代目の田村憲一氏より、直々にすべての工程をご説明いただきました。
幻想的な「辻が花」の魅力を今後もたくさんの皆様にお伝えさせていただきたいと思います。
2019年4月より㈱翠山として、あらたなスタートをさせこれまで桐屋(翠山工房)が制作してきた着物の図案などはそのまま引き続き使用できるため、生産数は少なくなりますが無くなるわけではございませんのでご安心下さい。
翠山の辻が花をお探しのお客様は、何なりとご相談下さい。
みやたけ工房では本当に質の高い振袖のレンタル・販売を行っています。
お気に入りの振袖で晴れの日を迎えられるようお手伝いいたします。

知りつくしたセンスのよいスタッフとの出会いがすべて!
はじめての振袖の選び方は、どんな風に選べばいいのか迷ってしまうこともしばしば。
好きなタイプの振袖が本人に似合うとも限りません。
ベストなチョイスをするためにも「自分の体型や顔立ちには、どんな振袖が似合うのか?」「どんな色の振袖が映えるのか?」を知りつくした、プロのスタッフの客観的なアドバイスがあるかどうかも重要です。
当店では、振袖選びで失敗しないパーソナルカラー診断も大変ご好評を頂いております。