誰が和装産地を殺すのか 

『 誰が和装産地を殺すのか 』

少々過激なタイトルですが、呉服業界の季刊誌にあった特集記事のタイトルです。

大ヒットした佐野眞一氏の著書『誰が「本」を殺すのか』のタイトルを真似たのでしょうか?

和装産地や技術継承の問題など、毎回かなり踏み込んで特集をしてくれています。

その中で、振袖に関する記事がありましたので、ご紹介させて頂こうと思います。

 

京友禅協同組合連合会発表

平成30年度の振袖生産量69,086反の割合をご覧下さい。

手描染        3%
型友禅       31%
インクジェット  66%

 

手描染がほとんどありませんね!

型友禅とは、型紙を使って職人が手染めする物ですので、インクジェットとは異なります。

この割合を見てみると、市場に出回っている振袖の約66%はインクジェットのプリント振袖という事になります。

 

ちなみに10年前のデータと比較すると

手描染       -62%
型友禅       -78.5%
インクジェット  +161.4%

となり、手染めの振袖は存続危機に陥っています。

これはレンタル振袖の需要増加によるみたいで、
お店がインクジェット振袖の説明をせずに、さも昔ながらの手描き友禅かのように接客しているのか?
レンタル振袖ならインクジェットのプリント振袖でも構わないという方が多いのか?
わかりませんが、手描染や型友禅の染匠にとって非常に厳しい状況です。

しかし当みやたけ工房は、創業以来25年以上にわたり、手描染や型友禅のみを扱う振袖専門店として営業しておりますが、年々お客様が増加し続けています。

地元のお客様だけでなく、関西圏以外からのご来店も毎月多く、ここ最近だけでも神奈川県・広島県・茨城県・高知県などからお越し頂いております。

実際にお客様の生の声をお聞きすると、「成人式1回だけの事なのでインクジェットで良い」という方は皆無で、「一生に一度のことなので衣装も拘りたい」という方ばかりです。

これは単純に、『職人手染めの振袖専門店に行った方に聞いているのだから当たり前の回答』という訳ではなく、ほとんどのお客様は振袖をインクジェットで大量生産している事など全く知りません。

当店では、ご来店していきなり試着するのではなく、お客様に安心して振袖をご覧頂けるよう、商品や価格の説明を先にさせて頂いた上で、振袖選びのお手伝いをしていますから、着物に詳しくない方でもある程度知識を付けて帰る事ができます。

価格にしても、ホームページに表示している通り、企業努力によってインクジェット振袖に比べて同額程度かお安く提供させて頂いておりますので、なおさら高額でわざわざインクジェット振袖を選択する必要はないのかなと思います。

あくまで当店に限った話になりますが、職人手染めの染匠が激減しインクジェット振袖がシェアを席捲している中で、手染め振袖専門店が客数や売上を伸ばしているという事は、「インクジェット振袖が絶対良い!レンタルしたり購入したりするなら、手染めの物よりプリント振袖を選ぶ!」という感じでシェアを伸ばしている訳ではないのだと思います。

廉価品というにはあまりに製造工程が素材が違いますので、代替品みたいなポジションでシェアを拡大しているだけであって、インクジェット振袖の魅力では無いように感じます。

作り手や売り手の都合により大頭したインクジェット着物によって、産地や伝統技術が失われつつあります。

ですが、インクジェット着物が悪いという訳ではなく、革新的な新技術として需要もありますし、その技術を導入していなければ潰れていたメーカーや小売店もたくさんあると思います。

もっと堂々とインクジェット振袖を説明し、魅力を伝えれば良いと思うのですが、実際は京友禅証紙を貼り、消費者を騙すような商いの仕方をしているのではないでしょうか。

余談になりますが、インクジェットの振袖メーカーは今後安泰なの?と聞かれると、実はそうではありません。

レンタル振袖は、他業界からの新規参入や新店舗立ち上げの時こそ需要が増加しますが、それ以降お店の在庫として残っていきますので、すぐ頭打ちになる事は明白です。

ではタイトルに戻って、『誰が和装産地を殺すのか』と考えてみると、経済産業省和装振興協議会にて業界の重鎮方が答えを導き出してくれています。

 

経済産業省和装振興協議会にて策定された「きもの安全・安心宣言」。

『京都サミット宣言』

1. 買い取り比率を上げ、サプライチェーン全体で産地への利益配分を増やす。

2. 全ての取引について、契約書・発注書・請求書・納品書等により書面化する。

3. 長期手形、延べ払い、歩引きを順次廃止する。

4. 委託販売、販売員派遣を含めた販売コストをそれぞれが応分に負担する。

『東京サローネ宣言』

1. お客様に対し、わかりやすい価格・品質表示を徹底する。

2. お客様に対し、根拠の無い二重価格表示をしない。

3. お客様に対し、販売意図を隠した勧誘をしない。

4. お客様に対し、お客様が強引と思ったり、圧力を感じる販売をしない。

※ お客様にとって、安全・安心でない不適切な業者・コンサルタントとは取引しない。

 

つまり、『小売の健全化』が産地と消費者を守る事に繋がります。

 

まさに当店が実践している通りの事なんですね。

 

成人式当日に事業を停止したり、品質の低い振袖を偽り高額でレンタルや販売したり、とんでもない値段を付けておきお客様の懐具合を見て値引き販売したり、契約するまで帰らしてもらえなかったりなど、悪徳業者の多さから、呉服業界は完全に社会的信用を失っており、京都サミット宣言や東京サローネ宣言を守らない業者が産地を窮地に追い込んでいるという訳です。

とはいえ、職人手染めの伝統技術がなくなるから、ホンモノの着物を買ってくれ、またはレンタルしてくれというのではなく、手染めの染匠もお客様が手に取ってみたい意匠や品質を維持し創作し続けていかねばなりません。

職人手染めの振袖専門店としては、ホンモノの着物を知らないまま振袖選びをされている方が大半で、とても残念に思います。

みやたけ工房では、職人だった先代の時代よりお付き合いのある染匠が多く、最高級振袖から手頃な振袖まで、創作振袖のみをたくさん取り扱いさせて頂いております。

ちゃんとした職人手染めの古典柄振袖をお探しの方は、是非一度「無料振袖カタログのご請求」を頂ければと思います。